朝〜ミサト〜の続きです。

昼 〜ミサト〜

 朝食の食器を洗わずに出かけるミサト、相変わらずガサツである。愛車ルノー・アルピーヌのエンジンを必要以上にふかし爆音と共に公道を走りぬける。

 ゴオオオオオオ!!

 直進はアクセル全開フルスピード。なぜかタイミング良く全て青で通過。

「やっぱり日頃の行いが良いせいかな!」

 ウソ!リツコに頼んで信号機を操作する装置を作ってもらっていたのである。

 ギュルギュルギュルウウウウ!

 交差点をスピードを落さずにドリフト、地面にはタイヤの跡、昨日と同じラインである。

「まあまあね」

 立ちあがりでさらに加速。

 ウーウー!!

 影に隠れていたパトカーのサイレンが響き渡る。

「まったく懲りないわねえ。私に勝てると思っているのかしら?」

 レースではない。いくらネルフだからと言われても朝からミサトの暴走行為、黙っている警察ではない。今日も追いつ追われつ。

「さあ!行くわよ」

 さらにアクセルを踏み込み回転数を上げる。

 グオオオオオオ!

 朝、この爆音と共に付近の家々の出勤が始まる。いつもと同じ時間帯、すでに名物である。

「ほーほほほ、何人たりとも私の前を走らせないわよ」

 チューンナップしたマシンには流石のパトカーも勝てない。ミサトの128勝0敗である。

「ふんふんふーん」

 ネルフに着くと手帳を出し、星マークのシールを「公道レース対戦」に今日も1つ貼った。

 そして自分の仕事部屋に向かう。

「まずは仕事前の一杯」

 部屋の隅に自分専用の冷蔵庫を置いてある。中身は・・・・

 ガチャ。

「あれ?疲れているのかな。最近働きづめだから」

 目をこすり冷蔵庫を閉め、もう1度開ける。

 ガチャ。

え?無い?無い?どうして?

 中身を隅々まで見まわすが目当てのものは入っていなかった。

「朝から飲むなんてダメです。私が預かりました」

 背中から声、振り向くとマヤが立っていた。

「えー、いいじゃない。飲まないと仕事に力が入らないのよ」

「ダメです。仕事が終わったら渡しますから」

 マヤはミサトが勤務中に飲む事が、あまりにもひどすぎるのでシンジに相談していたのだ。

「うえええ、マヤちゃーん・・・」

「はい今日の書類です」

 山のような書類を机に置くと涙を流すミサトを残してスタスタと部屋を出ていった。

「うええ・・・・」

 ニヤリ

 ミサトの泣き顔が一瞬で悪魔の顔に変化、悠々と歩いてイスに座る。

「ふふーん、マヤちゃんもまだまだツメが甘いわね」

 1番下の大きな引出しを開ける。中からはフワーと冷たい冷気、白い煙がはれると中からは・・・

 プシュッ!

 ングングング!

「ぷはっー!やっぱりこうでなくちゃ」

 他の人には普通の机に見えるのだが、大きな引き出しだけはリツコによってミサト専用冷蔵庫に改造されていた。

 掛け付け3杯、1分であけた。顔はすでに上機嫌である。

「さあてと、仕事仕事」

 山のような書類に手をつけ、端っこにのける。

「もう邪魔ね、仕事になんないじゃない」

 モニターを出し、ある場所を映し出す。書類の仕事は・・・どうでもいいらしい。

「どうなっているかな?」

 ワクワクしながらある人物を探す。

「あらシンジ君、震えているわね。どうしたのかしら?あーアスカが睨んでいるわ。まるで蛇ににらまれた蛙ね」

 次のビールをあけ監視?の仕事を続ける。

「あら端末に何か送られてきたわ」

 ズームアップ、シンジの端末の画面が鮮明に映し出される。そこにはシンジとレイが手を繋いでいる場面であった。当然ミサトは画面を食い入るように見つめた。

「これは登校かしら?朝からシンちゃんも大胆ねえ」

 姉として弟が立派?になって喜び、祝いのビールをまたあける。飲みながら画面のプリントも忘れない、今日もからかいのコレクションがまた1つ追加である。

「綺麗に撮れてるわ」

 カラープリント、MO、脳裏にと忘れる事は絶対無い。そして授業は何気に進んでいった。

 キーンコーン!カーンコーン!!

 スピーカーから授業終わりの合図、ミサトは一息つけようと席を立った。その時・・・

シンジ!

 アスカの大声がスピーカーを突き抜ける。何事かとまた目が画面に戻る。

「アスカったら、なに怒っているのかしら?」

 言い争いの場面だが、ミサトにとってはたまらなく楽しい時間。するとレイが画面に入ってきた、鞄を持っている遅刻したようである。

「レイも出てきて一段と面白くなるわ」

 心配という言葉は無いらしい。そしてミサトの指が録画のボタンに一直線。

「これを録画しないとバチが当たるわ」

 画面にはシンジの胸倉を掴んでいるアスカ、それを止めようとするレイ。ミサト視聴率100%である。

「うーん、シンちゃんをめぐる、2人の戦い。ダビングして売り出そうかしら?」

 録画はもちろん標準、ステレオである。その時・・・

悪いわよ!私の裸を見たのよ!

「「「なにー!!」」」

 興奮したアスカの声、それに驚くクラスメート。

「アスカもやるわね。既成事実を作ったわね」

 うなずくミサト、何かか違う。

 シンジは慌てふためいていた。

「ほらほらシンちゃん、ドーンと言っちゃいなさい」

 モニターを両手で掴み聞こえもしないシンジに話しかける。その時・・・

「私の裸だけじゃなく、アスカのも見たのね」

「「「!!!!」」」

 小さい声だが透き通った声、ハッキリと聞き取れた。クラスはまた驚いている。

「ふたまた、まさかと思っていたけどお姉さんは悲しいわ」

 ハンカチを取り出し、泣いてもいない目元を拭く、手にはビール。

 その後、シンジはアスカにまた胸倉を掴まれていた。その時・・・

「私と手をつないで登校したの」

 またレイの爆弾発言、シンジは一層強く締め付けがひどくなる。

なにー!!

ぐえー!

「アスカそのへんで止めないとシンちゃんが死んじゃうわよ」

 だが心配していない。笑っている。

 その後シンジは一生懸命にアスカを納得させるのに苦労していた。

「なーんだ。つまらないわね」

 録画を停止する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふあああ」

 シンジ達の授業は体育、外にまで監視カメラをしかけていないので、ここからミサトの仕事が始まる。

 カチャかチャかチャ!

「ふんふんふーん」

 鼻歌まじりで仕事、流石に遊びと仕事の切り替えが速い。テキパキとこなしていく。

「ここを編集して」

 ・・・・・仕事は先ほどの録画した教室の編集であった。テキパキとこなしていく。

「絶対に永久保存ね」

 そうこうしているうちに時間が経ち昼である。またミサト目が。

 画面はまた教室。シンジ達が映っている。そこでまたアスカの声が飛びこんできた。

イヤよ、シンジが私の為に作ったんだから絶対にイヤ!

 ミサトはまた画面を凝視したが、握りこぶしを作り悔しがった。

「く、くうー。録画できなかったわ・・・」

 ガックリ肩を落すミサト。だが気落ちしても今度からは、見る時は絶対に録画を心に決めた。

 そしてシンジ達の昼休みを終わり、授業になった。

 ミサトはそのまま録画をしつづけ、自分は仕事ではなく昼食。受話器を取り、食堂に出前を取る。

「カレーおねがい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 三佐の地位を利用して強引な出前。

 モグモグモグ!

「美味しいわね。でも私の作るカレーより下かな」

 ・・・・違うと思う。

 食事も終わり、腕をまくりいよいよ仕事。

 

 

 

 グオーグオ!

 ・・・・昼寝。

 

 

「ふあああ」

 ようやくお目覚め。腕時計に目をやると午後3時。

「あっちゃあー寝すぎたわ。急がないと」

 いよいよ仕事に取り掛かる。

「ティータイムっと」

 書類には目もくれずに自室を出る。向かう先は。

 

 

「リツコ、おっじゃましまーす」

「本当にお邪魔よね」

「そんなこと言わないでよーほら」

 ミサトはリツコの部屋にティータイム(サボリ)の時間。今日の戦利品をリツコに見せる。

「あら、レイ嬉しそうね」

「でしょ!シンジ君も奥手の様に見えて、けっこうやるのよね」

 リツコはプリントを机に置くと、2人分のコーヒーを用意する。

「明日はミサト編集のスペシャル映像をお見せするわよ」

「あら、楽しみね」

 2人のお菓子は、チルドレンの生活風景。それだけで時間が潰せる。

 

 

「あら、もうこんな時間」

「あー本当だ。喋っていると早く過ぎるわね。それじゃあまた明日ね」

 ミサトは10杯目のコーヒーを飲み干すと、手を振りリツコの部屋を出た。

「さあてっと」

 両手を高く上げ背伸び、ようやく仕事に取り掛かる。

「帰ろっと、今日のごはんは何かな?」

 もはや仕事の事は忘れ、頭の中はシンジの夕食の事でいっぱいであった。


 朝〜ミサト〜の続きです。ミサトが監視した場面は学校〜チルドレン〜学校2〜チルドレン〜です。そちらを読むと一層楽しめます。

 監視に編集に昼寝にティータイムといつ仕事をしているのでしょうか?こうしてミサトの重要な?勤務はおこなわれています。

 こんな小説?でも最後まで読んでくれた方々に感謝します。


NEON GENESIS: EVANGELION 昼 〜ミサト〜